旅人と子どもを潤す、果物の経済学

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        愛は農園にある。第五葉 

         ここさんぽ 中川ゆか

保育園の行き帰りに通る家のいちじくの葉と実が大きくなってきています。
5月のここさんぽのお散歩会では、河原で桑の木を見つけました。子どもたちは桑の実を気に入って、熟した実を夢中で探しては、協力して摘んで食べていました。
摘んですぐ食べる果実のおいしさはひとしお。味わうだけでなく、探して採る楽しさがあるので、何回摘んでも飽きません。桑の実は色、甘み、酸味、柔らかさが一つ一つ違うので、食べてみるまで味がわからないのも楽しいのでしょう。
思いがけずこどもたちのにぎやかなおやつタイムとなってよかったです。

 昨年、夏の畑のワークショップで草取りと夏野菜の収穫をしたときも、畑の枇杷の木から実をとって食べました。畑仕事で疲れた後の休憩で、枇杷は喉を潤してくれました。

 昔の日本では、街道に枇杷や柿などの食べられる実のなる木を植え、旅人が自由に食べられるようにしていたと聞きます。旅人にお金がなかったり、食堂や宿を探すことができなくても、新鮮な果物の瑞々しい甘みを味わい、木陰で体を休めれば、旅を続けることができたのでしょう。

 今は無料で食べ物を手に入れることが難しい時代です。
特に果物は高価な嗜好品とされています。果物風味のジュースやアイスのパッケージでは果物の写真が強調されますが、実際の果物の割合は少なく、香料や甘味料などで増量されています。
お金を持たない子どもたちが本物の果物を自由に味わえるようになるといいと思います。糖度が高くなくてもいい。見た目が悪くてもいい。子どもたちに本当に必要なのは、新鮮で安全な食べ物がいつでも手に入ることです。

 一度根付けば毎年木に実るりんごは、美しく、香りもよく、ビタミンも豊富。プラスチック包装も輸送エネルギーも不要。果実は人や虫、鳥や動物を養い、余った分は土に還り、大地を豊かにする。りんごの種からは新しい木が育ち、その木はまたりんごの実をつける。この素晴らしい循環を「りんごの経済(リンゴノミー)」と語るのはサティシュさん。

 誰でも新鮮で安全な食べ物を食べられるよう、果樹を増やしていきたいですね。
*去年食べた柿の種をプランターに蒔いておいたのが、次々芽を出しました。冬を越して、固い殻を破って出てきてくれて嬉しいです。

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